一般社団法人関青年会議所 2023年度理事長所信
2023年度理事長 森 有生
【はじめに】
昨今は1年周期で目まぐるしい変化が起こります。直近では世界中を脅威に陥れた新型コロナウイルスの影響がありましたが、3年経った現在でも私たちに影響を与えています。昨年にはロシアによるウクライナ侵攻が発生し多大な被害を与え続けており、この様な事態が本当に起きているのかと目を疑う程でした。現在の私たちには戦争という現実は全く想像のできないものになっていますが、それは諸先輩方が辛い過去から学び、次世代に同じような悲しい経験をさせたくないという強い気持ちが現在の平和な日本を残してくれたからです。しかし、現実には今もなお紛争を続けている国や地域が多くあります。メディアで報道されていることだけで無く、平等な目線で物事を考え、そして行動に移していくことが賢明です。
私たち、関青年会議所は1957年に発足し、今年度で創立66周年を迎えます。私は2010年度に入会し、今年度で14年目になります。社業に専念するために2009年に地元に戻ってきましたが、関青年会議所の事業を通じて多くの先輩方と関わり、色々な経験をさせて頂きました。奇しくも私の社業である祖父が創業した会社も関青年会議所の発足年と同じ1957年に創業しております。いわば、関青年会議所と弊社は同い年となります。私が社業を愛して尽力をし続けるのと同じように、関青年会議所にも想い入れがあります。この団体がこの先も繫栄していくよう尽力していきます。
【現状を知ること】
関青年会議所の所属メンバーは、1970年代から1990年代では常時100名を超える会員数で推移をしていました。私が入会した2010年には60名程の会員数でしたが、当時は会員数の多さ、そしてまだ20代前半で地元に戻ってきて社業に注力し始めたばかりの私には、多くの経営者と関われることが刺激的でした。地元の有力企業の経営者や、普通に生活していれば出会うはずの無い方たちと集い、関青年会議所メンバーとして同じ目的に向かって議論し、実践し、実行した事業を振り返ってはまた次に活かすという一連の流れが非常に魅力的でした。社業では社長の一声で決まってしまうような事業も、この団体では何度も議論を重ねなければ実行に移せません。常任理事会や理事会が行われる度に資料を作り直し、時には深夜遅くまで議論をしたこともありました。会員数が多い時には様々な意見が有り、多くの時間を使って議論をすることも度々ありました。しかし、現在の会員数は20名程に縮小しており現状に合わせた時間の使い方、議論の仕方、運営の方法が求められています。
私たちの直近の反省点としては時代が変化しているのにも関わらず、やり方を変えていかなかったという過去があります。そのもどかしさ故に会員を辞するメンバーも多くいたことは紛れもない事実です。時代は常にスピードを求められる世の中になっています。私たちも変化をしなければならない時期に突入しており、その対策が急務です。
子供の減少が国の重要課題とされているのと同じように会員数減少は最重要課題です。通年で会員拡大を行うこととし、同じ志を持った地域の青年経済人を巻き込んでいきます。メンバーと共に限られた時間の中で最大限の結果を発揮できるような仕組みに変更し、関青年会議所の更なる発展の起点となるように決意を持って取り組んでいきます。
【未来を担う子供たちのために】
子供たちは、日本の未来を支えていく存在です。それはこの先もずっと続いていきます。
子供が多くなれば地域も活性化し人口も増えます。様々なニーズも増え結果的には税収も見込めるようになります。本来であれば子供が増えていくような政策を行っていかなければなりませんが、その点は行政や国が担っています。私たちができることは、子供たちが大きくなって地元を離れて就業した際にも、いずれは故郷に戻ってきて地元企業で働いたり、地域のために慈善活動等に積極的に参加してくれるような郷土愛を幼少期から育むことです。しかしながら、昨今の新型コロナウイルスの影響により、子供たちの活動は中止や延期となる事業が多く、常に被害者になってきました。学校行事もさることながら、部活動やスポーツ活動、地域行事までもが中止になり、健全な育成ができなかった時期がありました。子供たちには様々な実体験をもとに新たな可能性を感じて欲しいと願っています。
それがわんぱく相撲なのか、JCカップなのかは問いませんが普段関わることの無い人たちと時間を共にすることにより学べることが多くあります。先の社会情勢が読めないという事情もありますが、本年度も子供たちと地域を巻き込んだ事業を開催したいと考えております。
昨年に行ったJCカップin関やわんぱく相撲の様に、いち早く開催を決定し地域の手本となるように率先して事業を行う姿は非常に頼もしく勇敢でした。
事業が失敗すれば批判もあるかもしれませんが、地元の子供たちのために批判も承知で取り組むような熱い気持ちがあっても、私は何もおかしいとは思いません。
冷静に物事を判断し、変化を恐れず果敢にチャレンジしていきましょう。
【まちの魅力の再認識と再発掘】
我々が住む関市は岐阜県の中濃地域に位置し山間に囲まれた地域であり、平成17年の合併により12の自治体と隣接する自治体となりました。山間地域であるからこそ良質な焼刃土や水と炭が豊富に得られ、刃物の歴史は鎌倉時代から始まっています。その歴史は脈々と受け継がれ、先輩諸兄姉のご尽力により今では世界三大刃物産地と言われるようになりました。そのような魅力的な歴史がある町であるにも関わらず、情報発信が少ないために関市民にすら認知度の低いまちの魅力も多く存在しているのが現状です。
私もこのまちに長年住んでいますが、幼い頃はまちの魅力について考えることはありませんでした。今では小学生からまちの魅力を学ぶ授業が行われるようにはなってはいますが、まちづくりを行う団体として、改めてまちの魅力を認識する必要が有り、まだまだ情報発信が出来ていない魅力を再発掘し地域の方々に伝えていく必要性があるのではないでしょうか。地域のために、そして地元愛を育んで頂くためにも、まちの魅力の再認識と再発掘を行い、情報発信し鎌倉時代から続いている関市の歴史を次代に伝えていきます。
【地域を盛り上げる青年経済人として】
私自身も地元である関市に本社を構えて社業を行っておりますが、業務の中で出会う経営者は私よりも目上の方が多く、若い経営者が減少していると感じています。同世代の青年経済人が少ないのは悲しい事態であり、地域経済にとっても良い事態ではありません。私自身が関青年会議所に入会した時、多くの青年経済人が会員として所属していましたが、時が流れるにつれて同世代の青年経済人が増えることはありませんでした。一つの事例として、事業承継が上手くいかず地元に帰ってこない、または地元で社業に努めているがまだまだ事業承継まではいかず、いつの間にか青年としての時代を通り越してしまう場合等が考えられます。様々な事情で問題を抱えている地域経済ですが、まず私たちができることは、所属している会員同士で切磋琢磨し、社業にも良い影響を与え事業拡大や利益改善に繋げていくことです。
会員同士の業種は様々ですが、経営者としての悩みは同じようなものを抱えています。
お互いの悩みや弱みを共有することで、改善策や打開策を見出せるようなお互いに良い影響を与え続ける関係性でありたいと思います。まずは社業で成果を出すこと、そして関青年会議所の活動でもその経験値から良いムーブメントを起こし切磋琢磨していきましょう。その後に、同調してくれる仲間が増えていくことを望んでいます。
【結びに】
私は関青年会議所に入会し、色々な経験をさせて頂きました。事業を通じて意見で衝突する事や、喜びを分かち合ったこともありました。多くの先輩と後輩が出来て、自分自身の人脈も広がりました。所属LOMを飛び出せば、岐阜ブロックや東海地区ではまた違う感覚を持つJCメンバーと知り合うことも出来ました。この大きな団体に所属する事で、普通にしていれば知り合わなかったはずの人たちと出会うことができたのは私にとって人生の大きなアドバンテージになっています。この団体を通じて成長させて頂いたと感じることが多いのですが、それに反して会員数が減少しているというのは悲しい事実として真摯に受け止めています。少なからず、今のままの関青年会議所では現状を打開することはできません。以前と同じような運営では一人当たりの所要時間がかなり多くなってしまい、次年度に引き継いでいくことができなくなっています。今のままでは会員が疲弊し、モチベーションの低下に繋がります。この状況を打開するには、現状を知り、今やれることに重点を置きスピード感を持って関青年会議所を運営し、結果を出していくことです。私は社業の繁栄と同じように関青年会議所の繁栄を強く望んでいます。
今年は変化の始まりです。次世代に良い影響を与えられるように大切なメンバーと共に挑んでいきます。
私たちがまちに良い影響を与えることができれば、関青年会議所も社業も繁栄し、そして地域経済にも良い影響を与えることができると信じています。
変化を恐れず、限られた時間の中で最大限の結果を出していきましょう。